2025年11月30日日曜日

多摩川ランナー、馬たちにあいさつされる

 長崎から乗った最終便では、どうやっても富士までその日に帰ることはできない。

だから僕は、川崎に泊まったんだ。

旅のつづきが、もう一話だけ用意されていたような気がした。


そして翌朝5時。

旅の延長線のように、僕はまた走り出した。


調べてみると、多摩川沿いは評判のいいランニングコースらしい。

ならばと六郷橋を渡り、東京側へ。

薄い朝の光が水面に落ちるなか、多摩川沿いをゆっくり下る。

多摩川大橋でまた神奈川に戻り、こんどは川を上っていく。


不意に、遠くから土を蹴る力強い音が聞こえた。

河川敷に目を向けると、馬がいた。

しかも一頭ではない。

朝練なのだろう。

馬が信号を渡り、馬に抜かされ、馬とすれ違い、馬に見送られてまた僕は走り出した。


旅の途中で、こんな朝があるなんて思ってもみなかった。


今日は9km。

昨日16km走ったわりには、足は意外と軽かった。

長崎の夜の余韻と、多摩川の馬たちの鼓動が、まだ身体のどこかで生きている。

坂を登るたびに時間がずれる

東京駅から秋葉原まで、リュックを背負ったまま走った。 そこからさらに四谷のホテルまで走ることにした。距離にして八キロほどだ。目的地は決まっていたけれど、急いでいたわけではない。ただ足を前に出し続けていれば、いつかは着く。走るという行為は、だいたいいつもそういうものだ。 途中、市谷...