年末に河口湖の10kmマラソンを走る。
もうエントリーは済ませていて、あとは宿を決めるだけだ。
一緒に走るのは高校時代の親友。
彼の奥さんは、僕にとって大学時代の親友だ。
だから、二人に会うと不思議な感覚になる。
「友達の夫婦」でもあり「それぞれに昔からの親友」でもある。
線を引いて考えようとしても、どこかで交わってしまう。
何年も会っていなくても、不思議と緊張しない。
空白を埋めようとしなくても、もうすでに埋まっている。
その気楽さに甘えながら、ただ「久しぶり」と言葉を交わすだけで十分なのだ。
マラソンは口実みたいなものかもしれない。
でも、走るための約束があるから、僕らは再び集まれる。
エントリーを済ませた瞬間から、その未来は確実に動き出している。
10kmは、数字にすればささやかな距離だ。
けれど、久しぶりに会う友と、その家族と僕の家族が並んでいる風景を想像すると、
その距離はただの「10km」以上のものになる。
年末の冷たい空気を吸い込んで、僕らはスタートラインに立つ。
その横顔に、十代の僕や、大学時代の僕が重なって見える。
そしてゴールの先では、今の僕らが笑っているはずだ。
――そんな未来を思いながら、宿の相談をLINEで続けている。
でもやっぱり、なかなか決まらない。
昔から高校時代の親友は優柔不断なんだ。
結局、「もう奥さんに決めてもらって」と、むこう側に丸投げしてしまった。
でも、大学時代の親友も優柔不断なんだよなー。